胃腸相談室 回答
Q:上手な健診の受け方を教えてください
回答:
会社や職場では毎年職場検診が実施されていますし、市町村では40歳以上の人に住民検診が行われています。古賀市では一般住民検診はミニドッグという方法で各医療機関に委託して行っています。古賀市のミニドッグはかなり詳しい検査をするもので、心臓病や高血圧、肝、腎臓病、糖尿病をスクリーニングするための検査が含まれており、成人病の発見には大変有効であります。職場検診はそれ程詳細なものではありませんが、きちんと受けていればかなり有効でしょう。問題はこれらの検診で異常が見つかったときです。そのまま放置しておけば折角の検診が役にたちません。ぜひ精密な検査を受け、治療することをお勧めいたします。
次に胃集団検診ですが、これも市町村が行う住民検診と職場で行う職場検診とがあります。いずれも検診車が来てバリウムを服用し、間接フィルムで撮影を行います。ところが撮影されたフィルムの質は検診機関によって相当の開きがあります。それは撮影する技師の技術の差と撮影装置のよしあしによるものです。私は長い間、読影委員をしていますので、このようなバラツキがないよう常に精度管理をするよう要求してますが、なかなか改善は難しいようです。しかしご安心ください。古賀市や津屋崎町が委託している対ガン協会と、福間町や宗像市などが委託している日赤は福岡県下でもトップレベルの検診技術で写真が撮られています。そしてこうして撮影された集検のフィルムはすべて福岡県医師会に集められ、福岡県胃集検協議会に所属する約100名の読影委員が分担して読影をしています。フィルムは必ず4名の読影委員の目を通ることになっていますのでバラツキの少ない読影ができるように工夫されています。
もし胃集検で異常が発見されれば本人に通知がきますので、胃精密検査実施機関で必ず精密検査を受けてください。精密検査のやり方としては、胃内視鏡検査と精密胃レントゲン検査とがありますが、事情がゆるせば必ず両方ともうけられることをお勧めいたします。内視鏡とレントゲンには両方とも長所と短所がありますので、両方を行うことによりお互いの欠点を補うことができ、またレントゲンと内視鏡の両方を比較しながら診断できますので非常に精密度の高い検診ができます。
最近、内視鏡だけで検診をすませる医療機関が増えてきていますが、どうしても見落としが多いのです。決して手抜きをしないようにすることをおすすめいたします。
大腸がん検診は検便2日法で行います。決められた方法で自分で採便し、免疫法で検査します。この方法では魚や肉に含まれる血液は除外され、大腸、または痔から出血したものだけが検出されます。また、この方法は簡単で苦痛がありません。誰にでもできます。ただし採取したら暑いところや日の当たる所に置いていますと変質して測定できなくなりますので、なるべく涼しい所に置き、2日分とれたらなるべく早く持ってきてください。
この方法で便に血が混じっていることがわかれば大腸精密検査を受けなければなりません。大腸精密検査のやり方は厚生省の指針で決まっており、①全大腸を内視鏡検査する。②注腸レントゲン検査で全大腸のレントゲンをとり、更に下部大腸の内視鏡検査をする。のいずれかを行うことになっています。そのうち②のレントゲンと内視鏡の併用が一番楽に検査できてよろしいと思います。①の全大腸内視鏡検査だけでも厚生省の指針はクリアできますが、かなり見落としが出ますので私方では更に全大腸のレントゲン検査を併用することをおすすめしております。これらの方法で精密検査をしますと、大腸早期がんが相当見つかります。そこで適切な治療を行えば、進行性大腸がんになることが防止されるわけであり、恩恵は大変大きいと思います。
検診は痛いだろうとか面倒くさいなどと言わず精密検査を受けてください。