なぜ健康診査を受ける必要があるのか
健康診査は、早期発見・早期治療のために必要です
『どこも具合が悪くないので、健康診査は受けなくてもいい』と思っている人がまだまだいるようです。しかし、病気の初期には自覚症状がないことが多いので、自分で気づかないこともあります。
そこで、病気を早く発見するためには、健康診査を受けることがとても重要になります。
日本人の死亡原因は「がん」「脳卒中」「心臓病」の3つで全体の3分の2を占めています。
今まで、これらは三大成人病といわれてきましたが、 糖尿病や高血圧、歯周病などを合わせて、最近では「生活習慣病」と呼ばれるようになりました。
健康診査を受けることによって、
● 自分自身の健康状況を確認できます。
● 病気の要因となる悪い生活習慣を改善するきっかけになり、
それによって、生活習慣病を予防することができます。
健康検査の種類
“健康診査”は、健康診断、健診、検診、人間ドッグなどいろいろな名前で呼ばれていますが、基本的な考え方は同じで、検査の種類が多少違います。費用については、無料のものから全額自己負担のものまでさまざまです。
基本健康診査
市区町村に住み、40歳以上の住民が受信できるものが老人保健に基づく”基本健康診査”です。これは全国の市区町村でで実施されています。健康センターなどで実施される集団検診方式と健康機関に委託して実施される個別検診方式があります。
職場検診・人間ドック
お勤めの方々には、職場検診などがあります。また、健康保険組合になどが保険事業の一環として、人間ドッグなどを実施する場合もあります。
自分自身のライフスタイルに合った健康診査を選び、
1年に1度は受信するようにしましょう。
基本健康診査の目的とその内容
健康検査を受ける前に注意すること
● 良い体調で検査を受けられるように心がけましょう。
● 前日の夕食は早めに済ませ、飲酒は避けましょう。
● 胃の検査がないときでも、原則として朝食はとらないようにしましょう。
● 検査直前は何も口にしないようにしましょう。
● 尿検査直前に排尿しないようにしましょう。
以上のことを守り、健康診査に備えましょう。
健康検査の項目
問診と 身長・体重 |
受付を済ませた後、問診表に記入します。次に問診を受けます。問診は、各種検査結果を判断するときに重要な情報となりますので、詳しく正確に答えましょう。身長や体重を測ることで、やせや肥満度を知ることができます。 |
血圧測定 | 心臓は普通、1分間に約70回、収縮と拡張を繰り返し、動脈を通じて血液を血管に送り続けています。心臓が収縮して動脈に血液を送り出したときの血圧を収縮期血圧(最大血圧)といい、心臓が拡張して動脈にかかる圧力が小さくなったときの血圧を拡張期血圧(最小血圧)といいます。血圧が異常に高くなっている状態を高血圧症といいます。正常血圧は収縮期140mmHg未満、拡張期90mmHg未満とされています。軽症高血圧は収縮期140~180mmHg未満、拡張期90~105mmHg未満であり、中等症・重症高血圧は収縮期180mmHg以上、拡張期105mmHg以上です。高血圧を長年ほおっておくと、特に細い動脈の動脈硬化が進行し、心臓病や脳卒中、肝臓病にかかりやすくなります。健康診査で高血圧を指摘された方は、十分な血圧管理が必要です。 |
検尿 | 尿は血液中の老廃物をからだの外に出してくれる役目を持っているので、その尿の成分から以上があるかどうかわかります。尿中の糖から糖尿病のチェックが出来ますし、たんぱく・潜血反応は腎臓・膀胱などの尿路の炎症、結石、がんなどの以上を早期に発見する手がかりになります。 |
心電図検査 | 心臓の筋肉の動きを電気的にとらえて波形のグラフにあらわされます。心臓の動脈(冠状動脈)が心臓の筋肉に十分な血液を送っているか、心臓の筋肉に異常がないか、心臓に負担がかかっていないか、不整脈がないかなどをみます。 |
眼底検査 | “眼の検査”とよく誤解されるのがこの検査です。眼の奥の血管は、網膜という光を感じる組織がありますが、その中は微細な動脈がはりめぐらされており、その網膜をのぞきこむことにより、全身の細かい血管の状態を知ることができます。 |
血液検査 | 約20ccの採血で40項目以上の検査が可能であるといわれています。健康診査による血液検査でわかる主なものをあげてみましょう。 <貧血検査> 血液の赤い成分を血色素(ヘモグロビン)といい、赤血球の中にあります。貧血は、この血色素が正常より不足した状態をいいます。血色素の中の鉄分が不足すると、鉄欠乏症貧血になります。これは偏った食生活を続けると起こる病気で、女性に多いのが特徴です。また、胃・十二指腸潰瘍・子宮筋腫などの時も貧血になることもあります。 <肝機能検査> GTO、GPY、γ‐GTPは、主に肝臓の細胞に多く含まれる酵素です。従って、何かの原因で肝臓の細胞が障害を受けた場合、これらの値が高くなることがあり、肝炎・肝硬変・肝がんなどが疑われます。肝炎は、ウィルス感染やお酒の飲みすぎなどによって起こります。特にγ‐GTPの高い値は、お酒による場合が多く、アルコール性肝炎と診断されることがありますが、適性飲酒を続けることによって改善されます。 <血糖検査> 尿中に糖が出る人がすべて糖尿病とは限りません。反対に血糖値が高くても尿中に糖が出ない人もいます。そこで、糖尿病の確かな診断には、血糖中の糖分である血糖値の測定が欠かせません。血糖は食事によって高くなるので、空腹時(食後2時間以上たっていること)であるかどうか、検査時に正確に伝えましょう。 <血清脂質検査> 総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の値をみます。血液中の主な脂肪分には、コレステロールと中性脂肪があります。コレステロールは、体を形成している細胞膜やホルモンの材料となる大切な物質ですが、多くとり過ぎると血管壁に沈着し、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。逆に、少なすぎると血管がもろくなり、脳出血を起こしやすくなります。HDLコレステロールは、血管壁にたまったコレステロールを引き出す働きがあるため、善玉コレステロールともいわれています。このため。HDLコレステロール値の低すぎる人は動脈硬化が進行しやすくなります。中性脂肪は、肥満の人や甘い食品をとり過ぎるなど偏った食生活の人が高値になりやすく、高い状態が続くと動脈硬化が進行します。HDLコレステロールと中性脂肪は、食生活や運動の影響を大きく受けるため、生活習慣を改善すれば、その測定値も確実に改善されます。 <肝機能検査> クレアチンには血液の中に一定量含まれていますが、肝臓の働きが低下すると、尿中への排泄が減少するため、血中のクレアチン濃度が上昇します。しかし、他の要因でも変動することがありますので、医師の診断を受けましょう。 |
健康検査で異常が見つかった場合
適切な指導や治療を受けましょう
各検査の結果に基づいて、
生活習慣の改善に努めましょう。
また、検査データは毎回保存しておきましょう。
「食生活」と「運動」の習慣を改善しましょう
もし、健康診査の結果、高血圧とわかったら…
生活習慣を改善するだけで血圧は正常になることがしばしばあります。まず、塩分を控える(1日10g以下)ことにより、かなり効果が・・・。また、1日30分以上(軽く汗をかく程度)の速歩などの運動によっても効果があがります。その他、肥満の解消、適度の飲酒、禁煙などを実行することで、高血圧を解消することができます。これらの生活改善をしても高血圧が続くときは、医師の指示のもとに薬物治療もあわせて行いましょう。
もし、健康診査の結果、糖尿病とわかったら…
糖尿病は、何かの原因で血液の中の糖分が高くなる病気です。膵臓から出るインスリンというホルモンが不足することによって起こるインスリン依存型糖尿病と、インスリン事態の反応が悪く、血液中の糖分を下げることができないインスリン非依存型糖尿病とがあります。改善法として、食事は特にエネルギーをとりすぎない工夫をすること、適度な運動を習慣にし、病気を改善しましょう。