胃腸相談室 回答
Q:ある病院で胃の検査を受けたら病理組織診断で癌が出ましたと告げられました。その後どうすればよいのでしょう?
回答:
今では上部消化管の内視鏡検査が大変普及し、しかも大変細径化して細かくて苦痛が少ない内視鏡になりましたので、内視鏡の専門医ではない一般の医師でもこれを行い、そこからごく小さい組織をとって生検組織診断をすれば、診断はおよそつきます。
私たちのところにもこのように、よその医療機関でカメラを受けたら胃がんでしたといって1枚の病理組織診断報告書を持ってこられる方がよくいらっしゃいます。欧米などの外国ではこんなやり方が多いと聞きます。だが胃や腸の診断は、病名がついいただけではあまり役立ちません。例えば胃がんを例にとって言いますと、それがどのへんにあって大きさがどのくらいで、どんな形をして、どのくらい深くもぐっているか、転移はないかまで診断しなければ次にどんな治療をすればよいか決まりません。
そこまで調べるには、胃精密レントゲン透視をしたり、内視鏡でもあちこちの方向から見た写真を撮って、多くの場所から生検して癌の広がりを確かめ、超音波診断で深さの診断をし、さらにはCT診断をしてリンパ腺や肝への転移の有無を調べないことにはうかつに手が出せません。
私たちではそれらの検査を全部して、内視鏡で見てとるか、手術が必要か、どのくらいの範囲までとらなければならないかなどを調べます。そこまで責任もって診断して、最も有効で安全な治療法をお教えすることにしています。
内視鏡では一見、胃潰瘍のように見えるが…
X線検査では潰瘍周囲に強い凹凸がみられ、
間違いなく癌であるとわかる。